2008/07/11

合わせ技で一本!!





もぉどぉにもとまらない。




この物語は南家三姉妹の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください。 あと、部屋は明るくしてテレビから3メートルは離れて見やが・・・ え、何だよ。アニメ版のじゃ駄目なのか? ・・・このカンペ読みながらやればいいんだな? この物語は南家三姉妹+αの微妙な非日常を混沌と描くものです。でも過度な期待はしないでください。 あと、部屋は明るくしてディスプレイの輝度を落として見やがってください。 「これでいいのか?」 「ああ、OKOK。バッチグーよ。そんじゃ、タイトルコール、皆行くぞ。」

「ゴチャマゼクエスト『異邦見聞録』麻帆良学園都市・外伝裏・・・」

『みなみけ!!』

「行くぞ読者。カオスの貯蔵は十分か?」 「それ多分別の作品です・・・。」 ********** 朝。小鳥のさえずりがよく響く。 それに誘われるように、人の街も目覚めていく。 この南家も例外ではなく。 「う、う〜ん。」 気持ちよさそうに体を伸ばす少女。寝起きはいいようだ。 彼女はこの南家三姉妹の長女・南春香。高校2年生だ。同時に、この家のリーダーでもある。 高校生でありながら一家の中心となる、というのは並大抵のことではないが、彼女は有り余るスキルを活かし危なげなくこなしているのである。 今日も二人の妹たちと突然現れた居候・・・・・・・のために、朝ごはんを作ろうと起きだした。 「う〜〜〜ん・・・。」 そしてこちらはやや寝起きが悪そうな少女。頭のてっぺんにできたホイップみたいな髪が特徴的だ。 南家三姉妹の三女・南千秋。小学5年生。ハルカを絶対的に崇拝しており、常に何か力になろうと考えている。 彼女が歳のわりに寝起きがしっかりしているのは、多分にそのためである。 彼女も、ただでさえ食い意地が張った姉がいるのに突然現れた居候・・・・・・・のためさらに朝ごはんを作らなければいけなくなったハルカを手伝うため、自室を後にした。 「くか〜・・・。」 先の二人と違ってまるで起きる気のなさそうな少女。女の子だというのに、大口を開けてはしたなく眠っている。 が、そんなことはこの南家次女・南夏奈(中学2年生)には関係ない。 己が欲望の赴くままに行動し、騒ぎを起こすのが彼女の常。所謂トラブルメーカーである。 ちなみに、チアキからは大馬鹿野郎認定されている。 彼女は突然現れた居候・・・・・・・のことをさして気にも留めていない。何か面白いことが起こりそうな予感は感じているようだが。 だが、その居候は非日常の世界に住まう者達。そう一筋縄ではいかないのである。 「ハルカ姉さま、おはようございます。」 「あらおはよう、チアキ。」 「おはようございます、チアキちゃん。」 チアキが台所に入ると、ハルカともう一人の女性が料理をしていた。 居候のうちの一人。彼らの中でチアキがもっとも信頼をしている人物。 「おはようございます、渚さん。」 古河渚。ハルカよりも二つ年上で18歳と聞いている。 居候の中で二番目の――本当は三番目なのだが、チアキは信じていない――年長者だ。 「チアキちゃんは朝早いですね。えらいです。」 「いえ、そんな・・・。」 渚のほめ言葉を聞いて、照れるチアキ。 渚ははぁ、とため息を一つつき 「・・・うちのリーダーもチアキちゃんを見習って早起きしてほしいものです。」 「だれがあさよわいって〜・・・?」 突然チアキの後ろから寝ぼけた男性の声が聞こえた。 チアキが後ろを振り返れば、そこには(チアキの中で)居候の最年長者・ロベルト東雲がいた。 目はうつろで、どう見てもまだ夢の世界の中だ。 「いえ、そんなフラフラで言われても説得力が・・・。」 「ZZZ・・・。」 「って、言ってるそばから寝てるじゃないか、この馬鹿野郎!!」 そんなロベルトは、チアキの中ですでに馬鹿野郎認定されている。 ちなみに馬鹿野郎度はカナの100%に次ぐ98%である。随分と中途半端な数値である。 カナだけでも頭が痛いのに、二大馬鹿野郎がそろってしまいチアキとしては頭を抱えたいところだ。 「ただいま戻りましたー。」 「帰ったわよー。」 「ふん、帰ったぞ。」 「パパー!!」 ちょうど良く、玄関から居候の残りのメンバーが帰ってきた。彼らは朝早くから『鍛錬』をしていたのだ。 「皆さん、お帰りなさい。零華ちゃん、帰ってきたらただいま、ですよ。」 「うん、ただいま、渚オネーチャン。」 玄関から元気よく突進してきた黒い少女。宵闇零華。 居候の中で最年少であり、同時にロベルト東雲の娘である。 「零華〜、おはよう〜。今日の鍛錬はどうだった〜?」 ロベルトにとって零華はまさに『目の中に入れても痛くない』愛娘である。さっきまでフラフラしていたのに、零華の登場だけでしゃきっとしている。 まあ、いまだ口調は夢の中だが。 「うん、だいぶうまくコントロールできるようになったよ。アーティファクトのおかげなんだけど・・・。」 「謙遜するな、零華。アーティファクトはお前の力の一部だ。それを用いてとはいえ、お前の成長は目覚しいものだ。自信を持て。」 そして、このやたらと偉そうな幼女。長い金髪といい抜けるような白い肌といい、まるで人形のようだ。 彼女はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。見たところ10歳にも満たないが、本人曰くこの中では最年長らしい。 チアキにはとても信用ができず、頭の可哀そうな子だと思われている。 「それに比べてぼーや、お前の体たらくはなんなんだ?え?」 「あうう、む、無理ですよマスター!!あんな速さに一発入れるなんて、できっこないですよう〜!!」 エヴァンジェリンにいじめられている少年。赤毛に整った顔立ち。数年経てば色男になるだろうという容貌だ。 ネギ=スプリングフィールド。(数えで)10歳であり、信じられないことに教師だという。 ちなみに、これに関しては皆信じている。疑ってかかったチアキが勉強を教えてもらったら、驚くほどわかりやすかったのだ。 この少年、10歳でありながら大学卒業程度の頭脳があるのだという。所謂天才少年というやつだ。 カナは便利なやつが来た、と思っているらしいが。 「ちょっとちょっとエヴァちゃん。ネギに厳しすぎじゃない?零華ちゃんはほめてあげてるのに。」 「黙っていろ、神楽坂明日菜。人の指導方針に口を出すな。それに事実零華の実力に比べてぼーやははるかに劣ると思うが?」 「う、そ、それはほら、零華ちゃんは理不尽ロベルトさんの娘さんだし・・・。」 このちょっと頭が弱そうなオッドアイの少女は神楽坂明日菜。中学三年生である。 ちょっと話した感じ一般常識というか、そういうものはしっかり持っているようなので、チアキによる馬鹿野郎認定はされていない。 ただし馬鹿野郎度は40%とやや高めである。 全員集合し、朝ごはんのしたくも終わり、さあ朝ごはんだというところで・・・。 「あれ?一人足んなくね?」 ロベルトが目ざとく気づく。 と同時に。 「何で誰も起こしにきてくんないんだよ〜!!」 微妙に涙目のカナが扉をバンっとあけて登場した。 これで正真正銘、全員集合である。 「ごめんねカナ。人が増えたからカナがいないことに気づけなくって。」 「ひど!!それが実の姉妹に対する扱いなのかよ!!」 「うるさいぞ馬鹿野郎。朝ごはんぐらい黙って食べられんのか。」 「同感だな。これ以上うるさくするようなら挽き肉にしてやってもいいのだぞ?」 「エ、エヴァちゃん、ご飯時にそういうのはちょっと。」 「いいえ、大好物です。」 「ロベルトさん、あなたという人は・・・。いえ、今更ですね。」 「あ、アスナさん!それ僕のですよぉ!!」 「はむはむ・・・。」 総勢9名ともなるとなかなかにぎやかなものである。 元々三人で暮らしているところにそれだけの人間がいるのだ、スペースもなかなか苦しくなっているが、そこのところは気にしたら負けである。 そもそもなぜ彼らがそんなところに現れたのか。話はそこまでさかのぼらねばなるまい。 ********** 「うわ〜、これが『幻想世界』か〜。」 ロベルト東雲――『創造主の影』に連れられ、ネギ、アスナ、エヴァンジェリンの三名は彼らのホーム『幻想世界』へ来ていた。 ロベルト・アキラ・渚・零華、おまけでジエン全員が無事(?)仮契約できたので、有用なアーティファクトの情報を保存するため一度『幻想世界』に帰還すると 言ったのがきっかけだ。 それならば一度『幻想世界』へ行ってみたいと、ネギとエヴァンジェリンが言い出したのだ。 その後色々とすったもんだあった後、ネギ、アスナ、エヴァンジェリンの三名の同行を認めたのだ。 ちなみに、カモはお留守番である。あの腹黒オコジョを連れてきたら、どうなるかわかったものではない。 「ああ、ネギ君。あんまはしゃいで遠く行くなよ。ここって意外と危険だからな。」 「大丈夫だよロベルト。僕だって鍛えてるんだから。」 と言って、力こぶを作るネギ。だがロベルトはふぅとため息をつく。 「いやいや、鍛えてる鍛えてないの問題じゃないんだよ。ここの危険さは。」 「む。それはどういうことだ。」 ネギの師匠でもあるエヴァンジェリンは、自分の弟子の鍛え方に文句を言われた気がして少々勘に触ったようだ。 「ああ、エヴァちゃんの鍛え方が悪いんじゃないよ。ここは俺の『本体』の精神と密接にリンクしてるからさ。変化が激しいんだ。 運が悪いとその変化に巻き込まれて消滅しちまうから。」 それを聞き、少々顔を青ざめさせる初『幻想世界』組。だがロベルトはからからと笑って 「まあ、俺のすぐ近くにいれば大丈夫だって。俺の近くは基本的に変化少ないから。」 と言った。それを聞き安堵の表情を浮かべる。 「それにしても、魔法だの何だのにはいい加減慣れたけど、これはまた凄いわね〜。」 とはアスナの感想。 「確かに、こんなのはどんな大魔法を使っても不可能だ。我々の次元にいる限り届かぬ力なのだろうな。 それを考えると、貴様という男の規格外さというか、反則さがよく分かるな。」 苦虫を噛み潰したような表情で、それでいて愉快そうにエヴァンジェリンは言った。 愉快そうなのは、そんな男を『仮に』とはいえ従者とすることができたからだろうか。 「それで、『情報の保管』とはいったい何をするのだ?」 エヴァンジェリンが興味深そうに聞いてきた。見れば、ネギも興味津々と言った感じだ。 だが、ロベルトは二人の期待を裏切るように答えた。 「特に何も。」 がく、とエヴァンジェリンとネギはこけた。 「俺たちがこの世界に戻ってきた時点で情報の蓄積が行われるようになってる。まあ、一瞬でっていうわけにもいかないけど、しばらく待てば終わるな。」 「でっていう」のところに妙なアクセントを置くロベルト。 もっと何かあるのではないかと期待していた二人は肩透かしを食らったようにため息をついた。 アスナだけは終始?を浮かべていたが。話が抽象的になっていくにつれて、『バカレッド』とも呼ばれる彼女は置いてけぼりになるのだ。 しばらくそうしていて。 突如、世界が震えた。 そうとしか表現できない現象だった。この『幻想世界』には明確な地面が存在しない。地震ではないのだ。 「お、おいロベルト!これはいったい何なんだ!?」 エヴァンジェリンがあわてて問うが、ロベルトですらも驚いた表情をしていた。 「これは・・・、馬鹿な、転移が発動している?俺には何の連絡も入ってないぞ!?」 ロベルトの言葉から察するに、『本体』自身がなんの予告もなしに転移を発動させようとしているようだ。 「え、ちょ、ちょっとそれって大丈夫なの!?」 「わからん!!」 「ロ、ロベルト、それはいくらなんでも・・・。」 だが、実際彼にもわからない自体だったのだ。何せ、転移前には『本体』との情報交換や座標の特定などが行われるのだから。 それがなければ、彼にもどこに飛ばされるのか、はたまたは何が起こるのかはわからない。 彼らはただ中をじっと見つめ、ことの成り行きを不安そうに見守った。 そして、それは終焉を告げる。 突如、アキラの足元に転移陣が出現したのだ。 『えっ!?』 そう、アキラの足元だけに。それに一瞬気をとられた隙に。 『アキラ!!』『アキラ君!!』「オニーチャン!?」 アキラは転移してしまった。そして、それに唯一反応できたのは。 「アキラ、ヒトリ、カコワルイ!!」 ジエンだった。そして彼も転移陣の光に飲み込まれ消える。 彼らが硬直から解けたときには、すでに転移陣は消えていた。一瞬の出来事だったのだ。 そうして、アキラは初めて、たった一人の『旅』を始めることになる。 その後が大変だった。 渚はショックで気絶してしまい、零華は泣き出し、ネギはおろおろとうろたえ、アスナはそれに突っ込みをいれ。 ただロベルトだけが冷静に『本体』に対し転移申請を出していた。エヴァンジェリンはただそれを見守っていた。 いや、彼は冷静ではなかったのかもしれない。実際、転移座標の特定が大雑把過ぎたのだ。 その結果が。 「今日はカニが安かったのよ〜。」 「カニだー!!」「カニー!!」 その日、南家は少々季節外れながら、カニ鍋を楽しんでいた。 ぐつぐつと煮える鍋の中、鮮やかな赤をたたえるカニ。 三人はカニが食べごろになるのを今か今かと待ち望んでいた。 そして。 「いただきまー」 ちょうどそのときに、鍋のちょっと上に巨大な光が出現したのだ。 言わずもがな、ロベルトたちである。 その後は記すまでもないだろう。 大惨事である。 ********** その後色々すったもんだあったのだが、ロベルトや渚やネギの誠心誠意の説得やら謝罪やらで疑念は残りながらも納得してもらった。 ちなみに、南家勢が納得した内容というのは『異世界』という一点のみであり、他についての説明は受けていない。 「それじゃ、行ってきまーす。」 「行ってきます、渚さん。その他大勢、渚さんにあんまし迷惑かけるなよ。」 「戸締りはしっかりするんだぞぅー!!」 南家三姉妹はそれぞれの学校へ行った。 そして、彼らの非日常の顔が姿を現す。 「さて、今後どうするかだが・・・。」 「ここはアキラ君のいる世界なんですか?」 「それについては、ネギ君。どうなんだ?」 ネギはやや表情を落とし 「少なくとも、周囲10km以内にはいないと思う。念話にも応答がないし・・・。」 「と、いうことはだ。しばらくこの世界にとどまって探索する必要がある。」 「しかし、そんな時間があるのか?」 とはエヴァンジェリン。だがロベルトは 「いや、その点は大丈夫だ。『幻想世界』を通じた世界の移動に時間って概念はないから。あと、基本的に自分の世界にいない限り老化もしない。」 と返した。どうやら、時間の心配はないらしい。 「アキラに限ってもしもの心配はないが、探したほうがいいのは間違いない。一応、『本体』に適宜交信とってアキラの座標が特定できるかどうか確認する。」 全員うなずく。 「とりあえず、当面の目的はアキラの探索。そのために、まずは資金・生活場所を確保しなければならない。 さて諸君。自分たちが何をすべきかはわかるな?」 渚とエヴァンジェリン、ネギはうなずく。が、アスナと零華が頭に?を浮かべている。 「よし、わかってる連中はとっとと働け。アスナちゃん、俺が勉強教える。零華は外出時は必ず誰かに同行。」 「へ?」 アスナが間の抜けた声を上げる。だがロベルトは有無を言わせず言った。 「当たり前だろ。学生の本分は学業だ。エヴァちゃんは学校なければ特に学ぶ必要もないけど、アスナちゃんは色々と壊滅的だから。」 「うっ!?」 思い当たる節が多々ありすぎて、思わずうめくバカレッド。 こうして、彼らのアキラ探索、アスナにとっては勉強強化合宿が始まったのである。 「すいませーん。10歳でも働ける仕事ってありませんかー。」 「楽できる仕事をよこせ。」 「・・・人選ミスです。」 ・・・始まったったら始まったのである。
君がくれた勇気はおっくせんまん。



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