2008/09/25

久々のSS





なのに鬱展開乙。




Side Akira Jin-nai 小鳥のさえずりが聞こえる。朝だ。 起床し、布団をたたむ。そのまま洗面所へ行く。 顔を洗うと、目が覚めすっきりする。髪は――整える必要なし。この三本の癖っ毛(角って言ったやつ誰だ)どうせどうにもならないのだから。 そして自室へ戻る。朝食を摂る前に着替えをする。 壁にかけられているのは、いつもの空色の服と濃緑のズボンではない。 白の制服。なのはと同じ(男女の差はあるが)聖祥の制服だ。 僕はそれに袖を通す。着終わり、姿見の前に立つ。 「・・・何か、変な感じだな。」 僕は基本的にあの服以外は着ない。だから、どんな服を着ても初めは必ず違和感を感じるのだ。 まあ、どうせすぐに慣れるだろう。そう思い、僕は階下へ降りていった。 「おはようございます。」 リビングに入ると同時に、僕は挨拶をする。そこにはすでに士郎さん、桃子さん、恭也さん、美由希さんの4人がそろっている。 ・・・なのはは寝坊か。まあ仕方ないか。昨日はおよそ初めての対人戦闘だったのだから。疲れもあるだろう。 「あらアキラ君、似合ってるじゃない。」 「ありがとうございます、桃子さん。」 どうやら変ではないらしい。よかった。 と。 どたどたどたどた。 上の階で慌てたような気配がした。どうやらなのはは今起きたらしい。 今朝はいつもの魔法訓練ができなかったから、慌てているのだろう。 そんなことを考えていると。 がちゃり! 「おはようございまーす!!」 なのはがリビングのドアを開けて勢い良く入ってきた。 寝起きであることが丸分かりの顔をしている。僕は思わずくすりと笑い 「おはよう、なのは。」 そう言った。

ゴチャマゼクエストSS 『異邦見聞録』 〜麻帆良学園都市・外伝〜

魔法少女リリカルなのは

閃光剣と杖

第十話・日常に響く不協和音

Side Nanoha Takamachi 起きたらもう7:30を回っていました。完全な寝坊です。 私は大慌てで制服に着替え髪を結び、下のリビングまでかけました。 扉を開けると同時に 「おはようございまーす!!」 朝の挨拶をする。そんな私を見てアキラ君はくすりと笑い。 「おはよう、なのは。」 そう言いました。私は恥ずかしさで顔が真っ赤になっていくのがわかりました。 アキラ君の今日の服装は、聖祥の制服。そう、今日からアキラ君は制服で登校することができるのです。 私はアキラ君があの空色の服と濃緑のズボン以外を着ているのを見たことがないため、とても新鮮に感じます。 だからじーっと見てたんですが、アキラ君は頭をかきながら。 「やっぱ似合ってないかな・・・。」 そんなことない。とっても似合ってるよ。 「本当にお前たちは仲がいいな。」 そんな私たちのやりとりを見ていたお兄ちゃんが、そう言いました。 そう言われると嬉しくなる。 嬉しくなるはずなんだ。なのになんでだろう。 こんなに寂しく感じるのは。 その後私たちは急いで朝ごはんを食べて登校しました。 途中のバスの中で。 「おはよう、なのは、アキラ。」 「おはよう、なのはちゃん。アキラ君、今日から制服なんだね。」 アリサちゃんとすずかちゃんに会いました。 「ふ〜ん。なんだ、意外と似合ってるじゃない。」 アリサちゃんはアキラ君をしげしげと眺め、そう言いました。それを聞いてアキラ君は少し苦笑し 「まあ、今まであの服以外着てなかったからね。」 そう返しました。 「何よ、一応褒めてるんだから素直に喜びなさいよ。」 「一応だろ?」 「でも、本当に似合ってるよ、アキラ君。」 「ありがとう、すずか。変じゃないかなって思ってたけど、そう言ってもらえると助かるよ。」 「ちょっと、何であたしとすずかでそんなに対応が違うのよ!」 そうやって、賑やかに会話するアキラ君とアリサちゃん、すずかちゃん。 ・・・不意に、胸にずきりと痛みが走った気がした。 「?どうしたの、なのはちゃん。どこか悪いの?」 そんな私に、すずかちゃんが声をかけた。どうやら顔に出てしまったらしい。 「ううん、大丈夫だよ。」 私はそう返して、笑顔を作る。 そう、大丈夫だ。私は大丈夫。 私は今アキラ君の隣に居られている。だから大丈夫なんだ。 Side Akira Jin-nai なのはの様子がおかしい。 授業中もどこかぽーっとしていたし、アリサやすずかが話しかけても反応が鈍い。 きっと昨日の対人戦が余程精神的な疲れとなってしまったのだろう。 アリサとすずかに何かあったのかと聞かれたが、昨日夜更かししていんじゃないかと誤魔化しておいた。 そして高町家。 「なのは。疲れているんだったら今日ぐらい休んでもいいと思うよ。」 僕はなのはに今日の訓練を休ませようと思った。 けれどなのはは 「大丈夫だよ。私は元気一杯だから。」 と言って笑顔を見せた。けれど、無理しているのが感じられた。 「でも、疲れてるときはしっかり休まないと、訓練効率も落ちるし返って逆効果になるよ。」 だからそう言ったのだが。 「大丈夫だってば。アキラ君はちょっと心配しすぎだよ。」 そう言って聞かなかった。 それ以上強く言うこともはばかられたので、予定通り、例の山で僕となのはの合同訓練を行うことにした。 訓練内容は至ってシンプルだ。 僕はよける。なのはがそれに対して攻撃を当てようとする。 時々僕からも攻撃――といっても、でこぴん程度だが――をするので、なのははそれに対処する。 要するに簡単な実戦形式の訓練だ。実になるかどうかはわからないが、実戦慣れはできるだろうという考えだ。 ユーノには結界を張ってもらうのと、観戦してもらって訓練開始と終了の合図出し、それとなのはの動きの良し悪しを見てもらう。 「二人とも、準備はいい?」 ユーノの問いかけに、僕となのはは頷く。・・・なのははやや緊張気味なようだが。 そこは慣れしかないだろう。ともかく僕はなのはに向き 「なのは。遠慮はいらない。全力でかかってきて。」 そう告げた。なのははためらいながらも、首を縦に振った。 「それじゃ・・・はじめ!!」 ユーノの言葉と同時に、レイジングハートが輝く。 『Divine Shooter.』 同時に、なのはのまわりに4つの桃色の光の弾が現れた。 それが一斉に僕に飛んできた。 僕はそれを左に軽く飛んで回避する。と、その光の弾は僕を追うように進路を変えた。 ――なるほど、誘導弾か!! この訓練で、僕は一切剣を抜かない。それは今のレベルのなのはに対してすることではないと思う。 つまり、これを叩き落すことは不可能。僕には回避しか手段がないわけだ。 僕は少し速度を上げて、誘導弾の隙間を潜り抜ける。 すると、誘導弾は少し動きがぶれた後に、再び僕を追い始めた。 ――制御の方はまだまだ荒いな。けど、威力は十分みたいだな。 紙一重で弾をよけたときに、その存在感を感じ取った。魔法や魔力のことはよくわからないが、あの重圧はそれなりの威力を感じさせた。 そう、あの子供先生の『魔法の射手』を4、5発分ぐらい纏めればこんな感じになるだろうか。 僕が言えた義理ではないが、まだ幼いのにとてつもないポテンシャルだ。ちらりとなのはを見る。 なのはは息を乱し汗を流していた。どうやら、これの制御にそれだけの労力を割いているらしい。 ――この術、ひょっとして今のなのはには制御しきれないんじゃないのか? 誘導弾の動きは、そんなに時間が経っていないのにもう動きが悪くなってきていた。 それではダメだよ、なのは。 僕は一瞬でなのはとの距離を詰め 「っあた!?」 でこぴんをする。すると、誘導弾はパシュン、と音を立てて弾け消えた。 「・・・なのは。強くなりたいのはわかるけど、そんなに急いじゃだめだ。まずはできるところから始めよう?」 今のがなのはにはまだ無理な領域だということはわかった。 考えてみれば、あれだけの威力(推測だが)で誘導性能を持った攻撃なんて、魔法に触れて間もないなのはにできるわけがない。 僕の時を考えてみればよくわかる。剣に触れて間もない僕は、『居合』を放ったときに必ず転んでいた。 なのはは何か言いかけ、けどすぐにやめて頷いた。 「じゃあもう一度。同じ魔法を使うなら、・・・え〜っと。ユーノ、何個までなら大丈夫だと思う?」 魔法の力量に関して僕がわかるわけもなし。ユーノに話を振る。 ユーノは小さな腕を組んで考え 「やっぱり、初めは一個だと思います。誘導操作弾はとても神経を使う魔法だから。」 「そうか。じゃあなのは、最初は一個だけで。もし大丈夫そうなら二個、三個と増やしていいから。でも無理だけはしないこと。いい?」 なのはは――不承不承という感じではあったが――頷いてくれた。 そして、僕たちは再び戦闘訓練を始めた。 Side Nanoha Takamachi アキラ君の身のこなしはやはり凄い。 私の新しい魔法『ディバインシューター』は誘導操作で確実に当てるのが特徴の魔法。もちろん、弾の速度もかなり速い。 なのにアキラ君はこともなげにそれをかわす。 さらにはかわすだけでなく 「なのは!狙いが甘いよ!!相手の動きの先を読むんだ!!」 なんていう風にアドバイスまでしてくれる。 この訓練はアキラ君が、私を強くするためにしてくれている。それはとても嬉しいことだ。 なのに、胸の痛みが止まらないのは何で? 「・・・いたっ。」 少し集中が途切れてしまったのか、いつの間にかアキラ君が私にでこぴんしていた。 「なのは・・・。やっぱりどこか調子が悪いの?全然集中できてないよ。」 「・・・そんなことないってば。さあ、訓練の続きをしよう!!」 アキラ君が心配そうな顔をしている。だから、そんな顔をさせないためにも私は笑顔を作る。 でもアキラ君はそんな私を見て、余計心配そうな顔をする。 私は大丈夫だから。まだアキラ君の隣にいられてるから。だからそんな顔をしないで。 「大丈夫だってば。アキラ君は心配しすぎだよ。」 「・・・なのは、やっぱり今日はやめよう。」 だけどアキラ君は、首を横にふりました。何で?私は大丈夫だって。 「自分で気づけていないときほど危険なときはないんだ。さあ、今日はもう帰ろう。」 私の手をつかんで、アキラ君は振り返り。 ――っ!! 「まだやれるよ!!」 アキラ君が驚いたような目でこっちを見てる。ユーノ君も、信じられものを見たような表情をしている。 今叫んだのは――私? 「え・・・、あれ・・・?」 「なのは・・・?」 私、今何しちゃったの? 私はアキラ君の手を振り解いていた。そして何故かレイジングハートをアキラ君に向けていた。 何で私こんなことしてるの? 「あ、あの、私・・・?」 「なのは。ひとまず落ち着いて。」 顔から血の気が引いた。そんな私を落ち着かせようと、アキラ君が優しく肩をつかむ。 それすらも払いのけ。 「なのは!!」 気づいたら、私はそこから逃げるように走っていた。 Side Akira Jin-nai 「なのは・・・。」 一体どうしたんだ。訓練中も何だか集中できていなかった。普段のなのはの姿からは想像もできないほどに。 そして突然叫び、逃げ出してしまった。 「・・・僕のせい、かな?」 「いえ、アキラさんのせいではないと思うんですが・・・、なのは、一体どうしちゃったんだろう。」 ユーノが僕の肩に乗り、結界を解く。 けど、あの姿は何ていうか―― 「何かに追われているような印象は受けましたけど、一体どうして・・・。」 そう、焦っていた。なのはは間違いなく、強くなることに焦っていた。 ダメなんだよなのは。そうして得た力では、いつか自分を見失ってしまう。 僕は既に見えなくなったなのはの後姿に、心の中で語りかけた。 そんな折だった。 「アキラ、オンナタラーシ、カコワルイ!!」 何かが僕の頭の上に乗り、聞きなれた喋りをしたのは。 「な、誰だ!!」「あ、お前は・・・。」 『ジサクジエン!!』 何故か僕と、頭の上の白まんじゅう――ジサクジエンの声がハモった。 これが僕とジエンの再会だった。 そしてこの日、なのはは自室にこもり、出てくることはなかったのだった・・・。
解説なしには読めない話になってきた。てか自分でもつかみきれてねぇ。 でもそんなの関係ねぇ。



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